求められるリーダーシップ!折れない心レジリエンスとは!?

逆境や困難に遭った時、圧し潰されてしまう人と、乗り越えて立ち直ろうとする人の違いはどこからきているのでしょうか。そのキーワードが「レジリエンス」です。様々なストレスがかかる現代社会で、逆境に立ち向かう力「レジリエンス」について取り上げます。

 

「レジリエンス」とは!?

「レジリエンス」とは、精神的な病を起こさないための予防としての取り組みで使われることが多いキーワードです。

レジリエンスをより有効に高めることができれば、学校や仕事、プライベートでストレスを受けるようなケースを減らすことができます。
グローバル化の波が押し寄せ、日本でも国内だけでなく海外との競争が激化し、事業環境は刻々と変わっています。

企業では、その変化に順応してストレスに負けず、ベストなパフォーマンスを可能にする人材が必要とされているため、折れない心を生み出す力「レジリエンス」を育てる取り組みが重視されています。

レジリエンスの意味・語源


レジリエンス(resilience)は、“跳ね返り、跳び返り、弾力、弾性、(元気の)回復力”などの意味を持つ英語で、元々、ストレス(stress)と共に、物理学の分野で使われていた言葉でした。

ストレッサー(ストレスの元となる外部の刺激)を受けて、心に何らかの歪みができてしまいます。これがストレスで、この歪みから跳ね返って回復しようとする力がレジリエンスです。

心理学の分野では、レジリエンスは復活力、回復力、逆境力などと呼ばれています。

レジリエンスが注目された背景


レジリエンスという概念は、1970年代になって注目されました。第二次大戦で600万人とも1000万人ともいわれるユダヤ人が虐殺されたホロコースト。

そのホロコーストで親を失い、孤児となって生き残った子どもたちの戦後を追跡調査したことがきっかけでした。

元孤児たちの中には、過去のトラウマや恐怖の記憶から立ち直れず、生きる気力を見出せずに不幸な人生を送っている人々がいる一方で、トラウマを乗り越えて仕事に就き、幸せに生きている人たちもいることがわかったのです。

両者の違いは何か?そのキーワードが「レジリエンス」でした。逆境を乗り越えた人たちが共通して持っていたのは、困難な状況に圧し潰されることなく、状況に準じて生き抜く回復力を持っていたのです。
日本ではレジリエンスが注目されたのは2011年の東日本大震災後でした。

壊滅的な状況から立ち上がる被災者の方たちの姿に、折れない心の重要性が注目を集めました。

ダボス会議でも用いられたレジリエンス


世界経済フォーラム(通称ダボス会議)の2013年年次総会では、メインテーマとして「レジリエント・ダイナミズム(弾力性のある力強さ=強靭な力)」が取り上げられました。

その中で、国の国力を「レジリエンス」で評価した結果が発表され、国際競争力が高い国は「レジリエンス」も高いことがわかりました。
グローバル化が進む現代社会では、その恩恵と共に、一度世界のどこかで経済危機や金融危機が起きれば、その被害はまたたく間に世界に広がって巨大化させてしまうことがわかってきました。

また、東日本大震災に見られる予期せぬ自然災害、そして大規模なテロなど、国としてそれらの危機に立ち向かうには、レジリエンスが必要です。

ダボス会議では、国としてレジリエンスを高めていくことが提唱されました。

欧米企業の強さは組織レジリエンスにあり

欧米では、2001年のアメリカ同時多発テロ、2007年の世界金融危機でレジリエンスの必要性が問われていました。

想定外の困難な状況から企業が立ち直るためには、組織レジリエンスが必要であると考えられたのです。
欧米では、多くの企業が従業員個人のレジリエンスを高めるレジリエンス研修プログラムを導入しています。

それまでの企業における従業員のメンタルヘルスケアというと、ストレスのかかった従業員を見つけ出してケアをし、職場の環境改善をするという後処理的なものでした。

しかし、レジリエンス研修プログラムは、ストレスがかかる前からストレスに強い折れない心を作る事前予防のトレーニングです。

従業員のレジリエンスを高めることで、組織レジリエンスは高まり、欧米企業は、困難や変化にも柔軟に対応できるしなやかな強さを持っています。

レジリエンスの必要性

グローバル化で外国人に勝てないといわれている日本人


グローバル化が進む中、日本人は外国人に勝てないといわれています。言葉が障壁であるかと錯覚してしまいますが、そうでしょうか。

グローバル化を視野に入れて、日本でも小学生のうちから英語教育が取り入れられたり、大学入試ではセンター試験の改革が進められたりしています。

今の若者たちは、まじめにしっかりと勉強をしており、知識力も高いです。それでも、グローバル化で日本人が弱いといわれるのは、本当に言葉の障壁のためだけなのでしょうか。
平成26年版 子ども・若者白書の「今を生きる若者の意識~国際比較から見えてくるもの」を見ると、自己肯定感を持っている若者は、アメリカ86.0%、イギリス83.1%、フランス82.7%などにくらべて、日本は45.8%と5割もいきませんでした。

「自分に満足している」「ありのままの自分でいいんだ」という気持ちがなければ、自分の決定や行動に自信が持てません。

自己肯定感が低い人は、自分の強みよりも弱みに目がいってしまうので、強みを生かした発想や思考も生まれにくくなり、自信なさげで毅然とした態度もとれません。

日本人は、自己肯定感の高い欧米人が自信を持って決定を下せるところで、後れを取ってしまっているということが考えられます。

ロジカルよりも大事なサイコロジカル


打たれ弱い若手社員が多くなったといわれることがあります。優秀な若手社員だったが、上司に少し注意されたことで出社できなくなったという例もあります。

採用試験に「ストレス耐性テスト」を取り入れて、ストレスに対する対応力を見ている企業も多いようです。
ビジネスの世界において、ロジカルシンキング(論理的思考)の大切さは言わずと知れたものです。

しかし、知識教育を施し、日本人のロジカルシンキングを鍛えたとしても、欧米人やパワフルな新興国の人たちの前では、人間力の差が出てしまえば負けてしまうことになります。

今、グローバル社会に向けて、日本人に必要な人材教育は、ロジカル(論理)よりもサイコロジカル(心理)なのではないかといわれています。

そして、日本人の人間力を高めるために必要な力のひとつがレジリエンスなのです。

折れない心を持つ人は何が違う?

レジリエンスのある、折れない心を持っている人は、何が違うのでしょうか?

レジリエンスのある人が持っているいくつかの特性がわかっています。

一喜一憂しない


物事の結果が出る前から一喜一憂している人は、期待と不安が交互に襲ってきて心が疲れてしまいます。

「きっとこれは成功だ」と喜んでいたら、糠ぬか喜びに終わってしまったり、結果が出る前から「もうきっとだめだ」と諦めて、途中で投げ出してしまったりします。

あるいは喜怒哀楽が激しすぎる人も、ひとつひとつのことへの心の反応が大きすぎて、心が消耗してしまいます。心が弱った人は、結果を待たずに途中で心が折れてしまいます。

レジリエンスのある人は、自分に何が大切かわかっていて、その結果が出るまでは自分の感情をコントロールし、途中では喜んだり悲しんだりする気持ちを抑えられる人なのです。

自尊心を持つ


自尊心のある人もレジリエンスの力が強いといわれています。自尊心は今すぐに手にすることができるものではなりません。

小さな頃から、たとえばおもちゃの片づけをして母親に褒められたり、学校のテストで100点をとって褒められたり、そういう成功体験の繰り返しで育まれるものなのです。

そうして身についた自尊心が、「自分ならきっとできる」「信じてやればきっと大丈夫」と自信につながります。

成功体験からくる「自分ならできる」という自信が、困難や問題に出会った時にレジリエンスの力を発揮させてくれます。

自己効力感がある


何かをやり遂げようとして、失敗を重ねた時、人はどう感じるでしょうか?「これだけやってもだめなら、もう無理だ」と諦めてしまえば、成功はありません。

何度失敗しても、その失敗に価値を見出せる人は、「さっきよりうまくできたから、次は大丈夫かもしれない」と成長を感じ、めげずに繰り返すことができます。

これを自己効力感といい、レジリエンスのある人は自己効力感が高いことがわかっています。

楽観性を持つ


レジリエンスのある人は、悲観的でなく、楽観性を持っていることがわかっています。

困難に直面した時に、悲観的になってしまうと進む道も見つけられずにそこで絶望してしまいます。

しかし、楽観性を持っていれば、「まぁ、なんとかなるさ」と今の状況を悲観せずにいられるので、進む道を見つけようと動き出せるでしょう。

体力はレジリエンスの礎となる

レジリエンスは心の問題ですが、実は体と関係しています。体力を鍛えることが、レジリエンスの礎となるのです。

心と体ひとつ


「病は気から」「心配は身の毒」ということわざにもあるように、東洋医学では昔から心と体は別々のものではなく、つながっており、相互に影響を与え合うものとして考えられていました。

うつ病の治療や予防には、適度な運動が効果的で、また魚をたくさん食べる習慣のある人には、うつ病の発症率が低いということもわかっています。

心と体はこのようにお互いに関わり合っており、心が疲れると体に不調を来しますし、体が不調であると心も鬱々としてしまうことがあります
レジリエンスを鍛えるためには、まずは体の健康が大切です。

体力をつけることが、レジリエンスの力を育む礎となるのです。

レジリエンスの力を高めるための、食事法や運動法など体力のつけ方を紹介しましょう。

食事の摂り方を変更する


レジリエンスの力を高めるためには、体内のブドウ糖の量を一定に保つことが肝心です。

ブドウ糖は人間のエネルギーの源であり、特に脳にとっては唯一のエネルギー源となる栄養素です。ブドウ糖が体内で減ってしまうと、集中力が途切れてしまいます。

また感情のコントロールができずに、喜怒哀楽が激しくなって心を疲弊させてしまいます。

このブドウ糖を体内に一定量保つために最適な食事方法が、3時間ごとに少量ずつ食事を取るという方法です。1日3回の食事をわざわざ5回とか6回に分けるのは大変ですから、量を少な目にした朝、昼、晩の食事の間に間食の時間を作って、ブドウ糖を補給するようにするといいでしょう。バナナはブドウ糖を多く含んでいますので、職場で休憩の時に1本食べるだけでも、ブドウ糖を摂取できて効果的です。

また職場で摂りやすいブドウ糖のタブレットなども便利です。

定期的に運動する


日常生活の中に、ランニングなどの運動をする習慣を作ることも、レジリエンスを高めるためには大変効果的です。

特に、全力疾走のインターバルトレーニングを取り入れて、体力の限界に挑戦する経験をすると、自己効力感を得られてレジリエンスには効果的といわれています。

また、そのような運動が無理な場合も、毎日の通勤でバス利用の区間を歩いてみるとか、体を動かすことは大切です。

そして、毎日続ける、1日1万歩歩くなどの目標を立て、それを実現した時に感じる達成感は、幸せホルモンと呼ばれるドーパミンとセロトニンを分泌し、幸福感と共にやる気がわき起こります。

つらい体験の後に喜びを感じる体験は、心を強くしてくれます。

十分に休息する


寝不足が続くと、抑うつ状態になりやすくなります。睡眠時間が5時間以下となると、うつ病のリスクが高くなるというデータも出ています。

楽観性を持って前向きで創造的な発想をするためには、十分な休息や睡眠時間を取ることが大切です。

自分の仕事を見直す


今の仕事を見直してみましょう。仕事に面白みを感じているでしょうか。

いつの間にか、やりがいや意欲を忘れてしまってはいないでしょうか。仕事とプライベートのバランスはどうでしょうか。

「仕事をやり切った感がないまま週末を迎える→プライベートでも仕事が気になってゆっくり休めない→ゆっくり休めなかったから疲れたまま週明け出社する」

こんな悪循環に陥っていないでしょうか。自分の仕事を見直して、もしマイナス要素ばかりであれば、仕事への向き合い方を改善しましょう。

たとえば、小さな目標を自分に課して、それを達成することの積み重ねで仕事に面白みを持たせましょう。

レジリエンスは後天的な性質

レジリエンスはトレーニング可能


レジリエンスには自尊心など、子どもの頃からの成功体験の経験が大きく影響しています。

小さな頃から引っ込み思案で、大人になった今でもくよくよしてしまう人は、「物事をポジティブに考えられないのは、生まれ持った性格だから、自分のレジリエンスは今更どうしようもないのだろう……」と、心配するかもしれませんが、それには及びません。レジリエンスは高い人と低い人の差はあっても誰もが持っているもので、大人になった今からでも、レジリエンスのトレーニングで高めていくことは可能なのです。

自身の思考を支配する


レジリエンスを育て高めるためには、まず自分の思考の癖を知っておくことが大切です。

難しい実験をしていて3回失敗して、「3回も失敗したから駄目だ」と諦めるのか、「まだまだ3回。少しやり方がわかってきたしチャンスはある」と思うのか。

人には思考の癖があります。もし、自分の思考の癖がネガティブなものだとしたら、それは小さな頃からの体験、何度やってもうまくいかず、「やっぱりあなたは駄目ね」と否定されて自尊心が傷つけられ、自己効力感が低くなってしまったことからの「自分はどうせできない」という思い込みによるものです。
ポジティブ心理学の第一人者でイギリスのアングリアラスキン大学大学院のイローナ・ボニウェル博士によると、人は7つのネガティブな思い込みを持っているそうです。

① 減点思考 「私には向いていない」「ほかの人の方が上手だ」

② べき思考 「それはこうあるべきだ」「それはやるべきことじゃない」

③ 悲観思考 「どうせ悪いことが起きる」「簡単にうまくいくわけがない」

④ 無力思考 「私では学歴が低すぎる」「規則があるから無理だ」

⑤ 自責思考 「失敗したら自分のせいだ」「失敗したら恥ずかしい」

⑥ 他責思考 「うまくいかないのは他人のせいだ」「私のせいじゃない」

⑦ 無責思考 「私には関係ないことだ」「最初から興味ないし」

これら中に自分がはまってしまう思い込みのパターンがあれば、まずはそれを自覚する必要があります。

ネガティブな思考をコントロールする癖をつけていくことで、少しずネガティブな思考が湧くことが少なくなり、代わりに得られたポジティブな成功体験によって、ポジティブ思考に変わっていくでしょう。

他者の影響を活用する


レジリエンスは、自分だけでなく周囲にいる人たちの影響もとても重要であるといわれています。

家族、友人、職場の同僚などの援助をソーシャルサポートといい、高いレジリエンスを持つ人は周囲の人たちと良い関係を作り様々なソーシャルサポートを受けているということが様々な研究でわかっています。

何かネガティブな出来事が起こり、ネガティブな思考に陥ったり、自尊心が傷つけられたりした時、ソーシャルサポートによってその思考の歪みを正してもらったり、自尊心を回復させたりしているのです。他人との良好な関係、愛着を形成することと、傷ついた心を癒やして回復させていく機能とには大きな関わりがあり、レジリエンスを高めるためにも必要なものです。
また、ロールモデルとなるレジリエンスの高い人が身近にいることも、大変都合がいいことです。

その人を目標に、思考の癖を治し、「あの人だったらどうするか」と考えてみるといいでしょう。

過去の体験から得た学びを再認識する


レジリエンスを高めるために、「逆境グラフ」とか「人生浮き沈みグラフ」を作るプログラムがあります。

これは、自分自身が生まれてからこれまでの人生、あるいは成人してから今までの人生で、幸せだったこと、不幸だったことを折れ線グラフで描いてみるのです。

幸せだった時はどういう感情を持ったか、逆境だった時はどう感じ、どう乗り越えて、どう思ったかなどをグラフの山と谷の部分に書いていきます。そうやって、振り返ってみると、いかにたくさんの逆境を自分は乗り越えて多くの学びを得てきたかを実感できます。

また、もし今試練が目の前にあったとしても、あの時とくらべたら今の試練などたいしたことではないと思えて、この試練も乗り越えられそうだと気持ちをポジティブに切り替えることができます。

落ち込みと立ち直りのメカニズム


イローナ・ボニウェル博士によると、レジリエンスによる心の回復には3つのステージがあります。

第1ステージ【底打ち】
外部からのストレスやネガティブな状況に陥った人間は、その不安や憂鬱さ、怒りやイライラといった感情に苛まされます。

このネガティブな感情が最大になってどん底までいった後、精神的なその落ち込みから抜け出そうとするのが第1ステージの「底打ち」です。ここでは、ネガティブな感情の悪循環から脱け出し、役に立たない思い込みを手放すためにレジリエンスの力が働きます。

第2ステージ【立ち直り】
底打ちした感情は、元の心理状態に戻ろうと上昇していきます。ここでは、自己効力感や自分の強み、またソーシャルサポートも活用し、立ち直れたことへの感謝をしてポジティブな感情を意識します。

第3ステ-ジ【教訓化】
最後のステージが教訓化です。困難から脱して回復していった体験は、次の困難の際の教訓となります。今の体験を振り返って、ポジティブな思考で立ち直った記録を心に刻みます。

レジリエンスの強い組織にするには

レジリエンスは継続的成長のための性質


日本でも、今後、経営環境や人口減少による社会構造の変化、自然災害やサイバー犯罪のリスクなど、様々な危機や変化が想定されています。

企業などは東日本大震災などの教訓から、これまで以上にリスク管理に力を入れてはいるものの、想定外のリスクへの対応はなかなか難しいものがあります。想定外のリスクや環境変化にも柔軟に順応するためには、組織としてレジリエンスを高めておく必要があるのです。たとえ予想不能の困難な状況に陥っても、柔軟に対応して回復するためには、組織のレジリエンス力が必要であり、持続的な成長を維持させるものとして注目を集めています。

シナリオが組織を強くする


組織のレジリエンスを高める方法のひとつとして、シナリオ・プランニングという方法があります。これは、「長期的視野で客観的に見て、これから起きるかもしれない未来の出来事を複数想定して準備しておく」という手法です。
元々、軍隊で使われていた手法を、ビジネスの世界に取り入れたのが、石油元売り大手のロイヤル・ダッチ・シェル社です。シェル社は1970年頃、長寿企業になるための考察を進めていて、その中で多くの企業が環境変化に弱いことを知りました。

また、シェル社では原油価格の長期予測が当たらないことに頭を痛め、それは今の状態がずっと続いていくという経営者、マネージャー、従業員たちの意識が、新しいことを発想する柔軟さを阻害し、凝り固まった固定観念に縛られているからではないかと考えました。
そこでシナリオ・プランニングの手法を使って、原油市場の未来の姿をいくつも考えて対応を準備することにしました。調査の結果、「世界的に原油需要は高まることは確実であるが、それに合わせて中東の原油供給国が生産を増やすかどうかはわからない」ことに気づき、「需要が高まれば生産も増やす」シナリオと、「需要が高まっても生産は増やさず供給不足になる」シナリオの2つを元に、さらに細かく想定して6つのシナリオを用意して、マネージャーたちが対策を考えました。
このシナリオのひとつが2年後に実際に、日本でも大きな騒動となった1973年の「オイルショック」として現実となりました。他の石油元売り会社が対応にこまねいている間に、シェルはシナリオの対策通りに対応して、業界で6~7位の位置からトップグループに躍り出ました。

環境への調和が組織を変化に強くする

前出のシェル社では、企業の寿命を研究した結果を、『企業生命力』(アリー デ・グース著、 堀出 一郎 (翻訳)日経BP、2002年)という本にしています。

それによると、1970年代の大企業の平均寿命は約40年、中小企業では約10年という結果が出ました。そして、長寿企業の特徴のひとつに、環境への調和がありました。
どのような社会環境や経済環境の変化があっても、企業の今の形が最適であり続けることは不可能です。

周囲の環境変化に調和できる組織であれば、変化に柔軟に対応でき生き残っていけるということなのです。これもレジリエンスのひとつの形です。

組織のブランドと独自性


組織にブランドや独自性があれば、環境変化が起きた時にも強いといわれています。

しかし、いつまでも愛され続けている商品は、時代を経ても全く変わっていないわけではありません。時代時代に求められるものは変わっていきます。

その時その時、柔軟にマイナーチェンジをする姿勢を持ち続ければ、長年にわたって消費者にオリジナリティある商品として愛され続けていくのです。

たとえば、今や世界で人気のサンリオのハローキティは、時代の変化を敏感に察してマイナーチェンジをしつつ、今のような人気キャラクターになりました。

組織はブランド力を高めると共に、柔軟に時代の求めに応じて変わっていくこと。これもレジリエンスの強い組織の形です。

現場が主役の組織


企業が大きくなり、グローバル化していく中で、何か問題や判断しなければならないことが起きた時、いちいち上層部にお伺いをたてていたら間に合いません。

企業トップが、全てをコントロールする組織では、時代の変化、環境の変化についていけなくなっています。
現場の人たちが考えて決断し、実行する組織なら、早急な対応をとることができます。

組織の中に、小さなグループごとのリーダーシップがあれば、それぞれの人が責任を持って考え、対応できるようになります。現場が主役の組織であれば、危機に陥った時も、従業員個人のレジリエンスの力がすぐに発揮されやすい環境となるのです。

無駄に見える時間が生産性を向上する


レジリエンスの高い組織は、「前向きでやる気がある」「知恵や知識が生かされている」そして、「人と人がつながっている」という特徴があるといいます。
厚生労働省の『就労条件総合調査』によると、フレックスタイム制度導入企業は年々減っているということです。フレックスタイム制は、1か月以内での総労働時間を定めて、従業員がその中で各日の始業と終業の時刻を決めて働ける制度です。フレックスタイム制は、従業員のモチベーションが高まり、無駄な時間を省き、生産性向上が期待されていましたが、従業員同士のコミュニケーションが不足して、業務が重複してしまい、逆に従業員のストレスになっている例もあるといいます。コミュニケーションの大切さと共に、無駄に見える時間が実は生産性の向上につながる例もあり、無駄が無駄ではないという側面が見えてきます。

まとめ

日本人は和を尊重し、組織を乱したくないばかりに失敗を恐れ目立つのを控え、総じてレジリエンスが低いといわれています。

しかし、グローバル化が進む社会だからこそ、従業員個々の、そして組織としてのレジリエンスを高めることを考えていきましょう。

Follow me!

Web集客動画講座

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です